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予定日近づいたらウォーキング?陣痛と運動の関係【国内・海外論文】

更新日:2022年5月17日

10か月間の妊娠を経ていよいよ近づいてきた出産予定日。

しかし予定日超過で出産を迎える人は多く、経産婦も含めると平均4人に1人は予定日を過ぎての出産となっています。

焦る気持ちも相まって「予定日がもうすぐだから沢山歩かなきゃ」というような声は皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか?

このコラムでは出産を目的としたウォーキングがどのような結果をもたらしているのかまとめました。

 

ウォーキングなら毎日1時間弱


2013年に日本で行われた研究で、500名を超える初産の妊婦さんを対象に「分娩前の取り組みと陣痛について」のアンケートを行いました。

研究の結果によると[楽~ややきついくらいの強度で一日最低50分以上、出産までの1週間で計300分以上]行っていた場合がもっとも自然に陣痛が来る確率が高かったということです。

自然に陣痛が起きない場合の手段のひとつとして陣痛促進剤を使うことになりますが、陣痛促進剤を使用した確率とウォーキング時間の間に以下のような関連性が見られました。

・一週間で300分以上ウォーキングを行っていた場合→5人に1人

・一週間で300分未満ウォーキングを行っていた場合→3人に1人

このように、ウォーキングの量が少なかったグループでは自然に陣痛が訪れず、陣痛促進剤を使用した割合が高かったということです。

 

1時間を超えるウォーキングには注意


研究の中ではもっとも運動時間が多かったケースとして、一日最低60分以上のウォーキングを行っていたグループもありましたが、このグループではそのうち4%の新生児がNICUに入ったという結果が出ました。

他のグループではNICUに入る新生児は1%以下だったため、一日60分以上ウォーキングしていた場合5倍近い確率でなんらかのトラブルが発生していたと考えられます。


実際多くのガイドラインにおいて一回の運動量は45~60分以内が適切とされています。
(上記の研究では『一日の合計の運動量』として計測されているので、中には一日数回に分けてウォーキングしていた妊婦さんもいた可能性があります)

運動時間が長くなることで母体の体温が上がりすぎてしまったり、脱水や低血糖などのリスクが高まるというのが理由です。

頑張った分だけ効果が上がるというわけではなく、逆に悪影響を与えてしまうこともありますから2時間3時間と頑張りすぎないよう注意しましょう。

 

「お産の進みが悪いから歩く」は効果なし?


一方で、無事陣痛がはじまり入院後「子宮口の開きが悪いから歩いてきて」と言われたという話も耳にしますが、陣痛が始まってからのウォーキングの効果はどのようなものなのでしょうか。

1998年の実験では、380人の女性に実際に陣痛中に歩いてもらったところ、歩かなかったグループと比べて出産までの時間や医療介入(鉗子分娩など)の数に優位な差は見られませんでした。

立ち上がった姿勢は重力の助けもあり、骨盤の動きをベッドに邪魔されないため有益とされていますが、ただでさえ体力温存が大切な陣痛の最中、痛い陣痛の波をこらえながら無理にウォーキングする必要まではなさそうです。

しかしながら「実験でなくてもまた歩くか」と聞かれた際、9割の女性は「はい」と答えたということで、実際ウォーキングによる悪影響もないため、気を紛らわすために少しベッドから降りてみるのもありかもしれません。
 

臨月前から始めておく


上記の研究は妊娠期全体における運動習慣は考慮されていません。

妊娠中は毎日体が少しずつ重たくなっていきますから、予定日が近くなってはじめて「よし、ウォーキングを始めるぞ!」と思っても、心肺機能や下半身の筋力が追いついてこない場合があります。

体が運動に慣れていないと疲労物質の排出も遅く、免疫も下がりやすくなります。

予定日前にぐったり、筋肉痛がある状態で出産、なんてことにならないように妊娠中早い段階から少しずつ体力づくりをはじめておきましょう。

 

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