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妊娠中のプロテイン・サプリメントの摂取について【助産師トレーニー監修】

更新日:2022年5月14日


今回のコラムはトレーニーならみんな飲んでいると言っても過言ではない、プロテインやサプリメントについてです。


一般的に必要とされるたんぱく質の摂取量は、運動習慣のない人でも1日あたり体重(kg)×約1g、筋トレなどを習慣としている人ではその2倍になるとも言われています。

トレーニングを習慣している人にとっては、十分なたんぱく質量を食事から摂取するのは難しいため、効率良く摂取するためにサプリメント類を併用する人も少なくないのではないかと思います。
しかし妊娠中や授乳中のサプリメントやプロテイン飲料については、安全性に関する情報がないため避ける事と各メーカーで記載されており、摂取し続けることを悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このコラムではプロテインやサプリメントの摂取を継続するかどうかの判断材料になる情報や、継続する場合の注意点についてお伝えしていきます。

 

妊婦が必要なたんぱく質量とは?


妊婦のたんぱく質の必要性は妊娠経過を通して高まります。

1日あたりの平均必要量は、避妊時に40g/日に対して、妊娠すると中期では+5〜10g/日、後期では+20〜25g/日まで増えるとされています。 (厚生労働省 推奨値参考)
基本的には食事からの摂取で十分と言われていますが、妊娠中は何かしらの理由で食事の摂取が困難な場合もあります。


例えば妊娠初期のつわりや、大きくなったお腹に胃が圧迫される事によって食事をうまくとれない場合があります。

そのような場合には『プロテインパウダーからのたんぱく質の摂取も有益である』という意見の医師もいるようです。

ただし、ここで注意が必要なのは①たんぱく質の摂取のし過ぎと②母体と胎児にとって不要な成分の摂取です。

 

プロテインを摂取する際の注意点


①たんぱく質摂取のし過ぎ
どんな栄養も摂り過ぎはよくありません。

妊娠中に必要なたんぱく質の量は妊娠期を通して高まると先述しましたが、過剰なたんぱく質摂取の危険性について海外で発表されている研究をいくつか紹介します。

スコットランドの研究での発表 〈たんぱく質を摂取し過ぎ、炭水化物が少なすぎる妊婦の胎児は成長が遅い〉 *ケトジェニックダイエットが推奨されない理由の一つ 〈高たんぱく質、低炭水化物の食事をしている妊婦は、妊娠糖尿病のリスクが高い〉

ニューヨークの研究での発表 ニューヨークの貧しい妊婦を対象とした比較試験では、
〈高たんぱく質サプリメント(総エネルギーの34%以上)の提供で低出生体重児のリスク増加〉がみられた。
ただし、〈適切なエネルギー管理のもとで実施された研究では低出生体重児のリスクを減少させる〉

上記の研究結果から、たんぱく質の摂取量には適量があり、適切な摂取にはメリットがある一方で、過剰な摂取は逆に複数のリスクを高めることが推察されます。

②母体と胎児にとって不要な成分の摂取
プロテインパウダーには栄養補助食品の一つとされていますが、たんぱく質以外の成分も含まれています。
「プロテインは太る」というのを女性なら聞いた事があるのではないでしょうか。
一般的に太る原因というのは、摂取カロリー>消費カロリーが大前提です。
なので一概にプロテイン=太るという訳ではありませんが、もちろん多くのプロテイン製品には糖分も含まれています。

総摂取カロリーなどに気をつけなければ、プロテインパウダーに頼りすぎるのも体重の増えすぎや妊娠糖尿病などのリスクが考えられます。
妊娠中は体重管理も重要になるので、プロテインによるオーバーカロリーには気をつけたいところです。

また多くのプロテイン製品には人工甘味料などの添加物も含まれます。
これらは本来、母体や胎児にとっては必要のないものです。

しかし、私たちの生活の中に溢れている食品には添加物を含むものも少なくありませんし、添加物に対する認識は個人差もありますので、気になる方は避けることをおすすめします。

 

ワークアウトドリンクは?


筆者が妊娠前に飲んでいたのはEAAです。
EAAは以下の9つの必須アミノ酸の総称で、たんぱく質の合成を高めるはたらきがあります。

・ロイシン ・リジン ・バリン ・イソロイシン ・スレオニン ・フェニルアラニン ・メチオニン    ・ヒスチジン   ・トリプトファン

しかし、これら9種類のアミノ酸は体内では合成されない、または合成されにくい成分です。
プロテイン製品の摂取と同様、アミノ酸サプリメントから摂取できる量は通常の食事よりも遥かに多く、これもまた妊娠中や授乳中の女性への安全性は確立されていません。

特に注意が必要な成分を紹介していきます。

・チロシン
・フェニルアラニン ・トリプトファン 
・5HTP
特にこれらの成分は妊娠中は避けるのが良いとされています。
私が以前飲んでいたEAAにも一部含まれている成分でした。

さらに注意が必要なのはL-トリプトファンです。

L-トリプトファンは白血球障害や肝臓や腎臓の病気を悪化させたり、吐き気や嘔吐などの副作用を引き起こす可能性があり、妊娠中は安全でない可能性が高いとされています。

中には過剰に摂取すると胎盤の発達や胎児の成長の低下を招くと結論付けている論文もあります。

 

妊娠中の摂取をどうしたらいいのか

つわりなどで食事摂取が困難な妊婦さんにとっては、医師の指示のもとプロテインなどを上手に使うのもひとつの方法です。

アミノ酸サプリメントに関しても、妊娠中に摂取可能な量に対してサプリメントにどのくらいの量が含まれているのか、普段の食事と合わせて管理できるのであれば必ずしも避けなければならないものではないでしょう。

それぞれの妊娠過程によっても判断は変わってくると思いますし、妊婦向けのオーガニックプロテインなどもあるようですので一概にダメとも良いとも言えませんが、過剰摂取や含有成分には気を付けたいところです。

また、心配な場合には成分を確認したうえで担当医に確認するようにしましょう。



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