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出産によるトラウマとは?防ぐためにできること

更新日:2022年3月20日

妊婦さんの中には赤ちゃんと会えることが楽しみで仕方がないという方もいれば、出産が怖くて仕方がないという方もいます。そしてもちろんそれらの気持ちが綯い交ぜになっているという方もいるでしょう。
出産は喜ばしい出来事であると同時に心身ともに大きな負担が伴う大仕事ですから、その経験がショッキングな記憶として脳にインプットされ、トラウマとして症状が残ってしまうことがあります。

この記事では出産によるトラウマとはどのようなものなのか、どのように防ぐことができるのかをお伝えしていきます。
 

出産によるトラウマとは


出産によるトラウマには複数の種類があり、程度も様々です。
ニューヨークの医師Rachael Benjamin氏によるとトラウマが発生する場合以下のような状況が挙げられるそうです。

・母親が緊急の医療介入や帝王切開、多量の出血などを経験したケース
・胎児の医療措置が必要になり母親が強烈な不安を抱いたケース
・過去の性的暴行やDVなどによるトラウマを思い出してしまったケース

また父親も例外ではなく、出産により大切な奥さんや赤ちゃんが命の危険にさらされていると強く感じた時にはトラウマになってしまうケースがあるのだといいます。

医学的には、震災や戦争などと同じく強いショックを経験した際にそのストレスが病気として現れる心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder : PTSD)として診断される場合があり、産後PTSDとして診断される女性は100人に3~6人もいるそうです。

また、PTSDのように心的ストレスが残る残らないに関わらず、1割以上の女性は”出産により自身もしくは赤ちゃんの命の危険を感じた”ということが報告されており、いかに出産が壮絶な経験になり得るかが分かります。

 

医学的に診断がつかなくても


PTSDのような診断名がつかなくても、出産=「嫌な経験」「思い出したくないこと」として記憶に残ってしまう方は多いようです。

NHKの「あさイチ」という番組内では”お産トラウマ”として以下の4点が紹介されました。

・安産を目指して妊娠中から努力したのに叶かなえられなかったという挫折感
・陣痛の間に放っておかれたなど医療スタッフの対応に対する不満
・会陰切開や帝王切開、陣痛促進剤などの医療処置が納得する前に行われたこと
・夫のサポートに対する不満、姑しゅうとめに嫌みを言われた、など家族の対応

産後の心理状態は非常にデリケートです。
まして長い妊娠期間を経て出産を迎える妊婦さんにとって、我が子の誕生を迎える瞬間はこれ以上ないほどにかけがえのない経験。
そんなかけがえのない経験だからこそ、「満足がいかない何か」の存在は、我が子の誕生というポジティブな記憶をも打ち消してしまうほど強烈に記憶に残ってしまうのかもしれません。
 

トラウマにしないために


おそらく全ての妊婦さんが、できるだけ幸せに、できるだけいい記憶として出産を経験したいと願っていると思います。少なくともトラウマになりたいという方はいないでしょう。

お産によるトラウマを防ぐために、出産の前と後、両方で出来ることがあります。

【出産の前にできること】
トラウマになってしまう場合、そのケースの多くが「予想外の」「知らなかった」「緊急の」処置や状況になったときに発生しています。
緊急帝王切開になった場合どうなるか、医療介入はどのような場合に行われるのかなど、事前に病院や産院に確認しておけるといいですね。
具体的に出産をイメージするために、友人や家族に出産話を聞いたり、色々なケースの出産レポートを読んでおくのもいいかもしれません。
そして何より、出産は何が起こるか分からないものであることを理解し、ありのままを受け入れようという心づもりができていれば受けるストレスは少なく、心が柔軟に対応できるでしょう。


【出産の後にできること】
バースレビュー、という手法が少しずつ広まっています。
バースレビューとは「分娩の振り返り」のこと。
お産がどんなものであったかを自分の言葉で振り返ることで出産経験を肯定的に捉えられるようにするというものです。
実際にアメリカの研究では、体験を人に話したり、文章に書いたりすることでPTSDを防いだり回復を早める効果があるということが分かっています。

 
お産に正解はありません、というのは筆者自身が担当の産科医からいただいた言葉です。

全ての赤ちゃんが完璧であるのと同様に、どんなお産も百点満点なんだという気持ちで、全てのお母さんに幸せな出産を経験していただきたいと思います。
 



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