top of page

妊婦さんのための運動ガイドラインまとめ

更新日:2022年3月9日

妊婦さんにとって運動は食生活や睡眠と同じくらい大切にしていただきたいメリットの多い習慣。
しかし妊娠期間という特殊な状態で「何をどのくらいしたらいいのか分からない」という方もいるのではないかと思います。
このコラムでは日本や海外で指標とされているガイドラインをまとめましたのでぜひ参考になさってください。

 

運動をはじめる前に


運動にはメリットがたくさんありますが、妊娠中の状況によって運動が適さなないこともあります。
日本臨床スポーツ医学会では、妊娠経過が正常で、かつ以下の条件を満たしている場合を運動に適した状態としています。

1)後期流産・早産の既往がないこと.
2)偶発合併症,産科合併症がないこと.
3)単胎妊娠で胎児の発育に異常が認められないこと.
4)妊娠成立後にスポーツを開始する場合は,原則として妊娠 12 週以降であること.
5)スポーツの終了時期は,異常が認められない場合には,特に制限しない.

原則として妊娠12週以降であること、というのは妊娠初期はつわりによって脱水状態にあったり栄養不足状態にあったりというケースが考えられやすいためです。
妊娠初期に運動することが流産につながるというわけではありませんので、心配しすぎないようにしましょう。

体調に問題がなければ、運動初期からの有酸素運動と軽い筋力トレーニングを推奨する意見もあります。
赤ちゃんはまだまだ小さい時期ですが、7週目ごろから赤ちゃんとお母さんを繋ぐ胎盤が形成されていきます。
1992年に超音波測定で行われた研究では中期〈までに〉運動していたグループは、胎盤の形成がより早く進み胎盤の機能も向上しやすいという結果が発表されています。

 


どのくらいのハードさ?心拍数よりも体感を大事に



日本の臨床スポーツ医会によると妊娠中の運動強度は「心拍数で 150回/分以下、自覚的運動強度としては"ややきつい"以下」が望ましいとされています。

また、カナダの産婦人科学会では年齢と妊娠までの運動習慣によりさらに詳細に分類されています。

【20代】
運動習慣なし 129-144
やや活動的  135-150
運動習慣あり 145-160
【30代】
運動習慣なし 128-144
やや活動的  130-145
運動習慣あり 140-156


一方で、心拍数を目安にするということ自体あまり推奨しないという意見もあります。
妊娠中はホルモンの影響により血管が拡張するため、体は心拍数を上げることで血圧を一定に保とうとします。心臓の仕事量が増え、心拍数で言えば10~20ほど上がるため、運動時の心拍数も上昇してしまいやすいという理由からです。

そこでぜひ意識していただきたいのがRPE(自覚的運動強度)と呼ばれる指標で、上記のように「ややきつい」や「話すことが出来る程度」というような言葉で表されます。

アメリカの産婦人科学会のウェブサイトには「話はできるが、歌うことはできない程度」と掲載されています。
長く発声することはできないほど息が切れている状態はすこし強度が高すぎる、ということですね。


他にも貧血になりやすかったり関節の痛みが出やすかったりなど、妊娠中の体調は個人差もその症状も多様です。
怖がって何もしないのはもちろんよくありませんが、ウェアラブルなどの数値に頼りすぎず「しんどいかも」と感じたら体を十分に休めるようにしましょう。

 


運動の頻度はどのくらい?


日本スポーツ臨床医学会では、運動の頻度は週2~3回で、1 回の運動時間は60分以内とすることが望ましいとされています。

一方カナダの産婦人科学会のウェブサイトでは、運動経験がない人でも最低週3回、トータルで150分程度の運動が望ましいと掲載があります。

週3回までがいいのか、週3回以上がいいのか、これもやはりその人の体調や運動への慣れというところが大きいと思います。
こういった研究は多くの妊婦さんの協力をベースに平均を導きだしている数値ですので、週2回程度がちょうどいい人も、週7回がちょうどいい人もいます。

強度と同様に、ぜひ「体の声」を聞いて柔軟に対応しましょう。

 

いかがでしたでしょうか。
体づくりに対して前向きに取り組むことは妊娠を前向きに取り組むことにも繋がります。

妊娠中の運動に関してのガイドラインは複数存在するためどれを参考にしていくかはその方次第です。しかしどのガイドラインも、特別な妊娠状態になければ運動にメリットがあることを強く述べていますので、ぜひ怖がらずに始めてみましょう。

 



Clapp, J.F., and K.H. Rizk. 1992. “Effect of Recreational Exercise on Mid-Trimester Placental Growth.” American Journal of Obstetrics and Gynecology 159:1456-1460.

Austin, K., and B. Seebohar. 2011. Performance Nutrition: Applying the Science of Nutrient Timing. Champaign, IL: Human Kinetics.

Opmerkingen


​妊婦さん・ママのための
教室をさがす

SEARCH

Copyrights© 2022 一般社団法人マタニティトレーニング&ケア協会 All Rights Reserved.

bottom of page